9018筆の署名と要望書を県知事宛てに提出

2025年1月29日「(仮称)宮城県気仙沼風力発電事業計画中止に向けた要望書」を、「気仙沼の母な山 羽田山の中核部 市民の森での風力発電計画の中止を求めます」の署名9018筆と共に県に、県に提出してきました。(昨年末気仙沼市長に提出時より、その後署名数が増えました)
①災害の頻発化と重大化 ②水源および生態系への悪影響 ③健康被害リスク増大 ④現在および将来の気仙沼に及ぼす影響
以上の理由から、気仙沼市民にとって宝物である「市民の森」は、風力発電施設の設置場所として甚だしく不適切であること。
準備書に関して市長の意見を聴き、事業者に意見する権限を有する宮城県知事に宮城県知事に、計画中止を求める9018筆の署名に示された想いを受けとめ、住民不在のまま事業が進行することのないよう、準備書意見等を通じて事業者に対しての意見と指導をしていただけるよう要望してきました。
各メディアでも報道されました。
tbcテレビでの報道
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tbc/1693594?display=1
ミヤテレでの報道
https://news.ntv.co.jp/n/mmt/category/society/mmeec69afcfc7547c196e5227d46ad731e
khb東日本放送での報道
https://www.khb-tv.co.jp/news/15603082
河北新報での報道

(仮称)宮城気仙沼風力発電事業の計画中止に向けた要望書
1 要望の趣旨
東急不動産株式会社が、宮城県気仙沼市の「市民の森」に計画している(仮称)宮城気仙沼風力発電事業に対し、気仙沼市民を中心に、計画中止を求める9018筆の署名が集まりました。宮城県知事におかれましては、住民によるこのような動きをご勘案いただき、住民不在のまま事業が強行されることのないよう、準備書意見等を通じて事業者に対しご意見・ご指導いただきますよう、要望いたします。
2 経緯
気仙沼市の西部に広がる羽田山一帯は、豊かな水源地として人々の暮らしを支え、絶滅危惧ⅠB類に指定されているクマタカが生息するなど、三陸沿岸の多様な生態系を象徴する存在です。山麓には奈良時代創建とされる羽田神社が鎮座し、熊谷武雄や尾形紫水といった郷土が誇る文人に愛されるなど、地域の文化を育む精神的な基盤にもなっています。
「市民の森」は、気仙沼の母なる山とも言える羽田山の稜線沿いに整備され、長年、気仙沼市民に親しまれてきました。東急不動産株式会社の計画は、「市民の森」とほぼ重なる稜線部を中心に、国内最大級の高さ180mの風力発電機を最大で10基建設するというものです。周辺地域の生態系だけでなく、住民の防災面や健康面にも多大な影響を及ぼし、未だ東日本大震災からの復興途上にある気仙沼市の将来に、負の影響を及ぼすことが懸念されます。
再生可能エネルギー重視の掛け声のもと、先人たちが営々と築いてきた自然と人の営みの調和が断ち切られ、回復不能に陥るのではないかとの強い危機感から、「市民の森」での風力発電計画の中止を求める署名を呼びかけたところ、令和7年1月25日までに、気仙沼市民を中心とする9018人もの方が、共感・賛同してくれました。
令和6年12月20日、気仙沼市長に「(仮称)宮城気仙沼風力発電事業の計画中止に向けた要望書」を提出しましたが、準備書に関して市長の意見を聴き、事業者に意見する権限を有する宮城県知事にも、こうした経緯をお知らせし、私たちの想いを届けたく、要望書の提出に至りました。
3 要望の理由
私たちは、再生可能エネルギーとしての風力発電そのものに反対しているわけではありません。ただし、その設置場所については、既存の優れた自然環境及び生活環境を損なうことのないよう、慎重かつ十分に吟味する必要があると考えます。「市民の森」での風力発電計画に対しては、以下の点から疑問の声を上げざるを得ませんでした。
- 災害の頻発化と重大化
計画地の北東部は山地災害(崩壊土砂流出)危険地区に含まれており、南側は宮城県内最大規模の砂防指定地に接しています。一帯は花崗岩質で、土砂崩壊の発生しやすい地質であることが指摘されています。防災のための各種指定地における大規模開発工事は、土砂災害の頻発化のみならず、ひとたび災害が起きた場合、重大な被害をもたらすことが懸念されます。
東北地方においても近年、台風が強い勢力を維持したまま上陸する事例が増え、線状降水帯による豪雨災害も頻発しています。また、森林破壊、とりわけ稜線部の改変が、山全体の保水力を損ない、土砂災害のリスクを高めることは、各地の土砂災害の増加を見ても明らかです。
気候変動による災害の激甚化が囁かれる現状に鑑み、市民の命と暮らしがリスクにさらされることを私たちは懸念します。
- 水源及び生態系への悪影響
建設予定地の多くは水源涵養や干害防備等の保安林に指定されています。また、廿一川や神山川、金成沢川の源流の山並みであり、わずか1km圏内には廿一水源があり、廿一川は大川沿いの新月水源につながっています。水源の荒廃、水質の汚染、泥水の流出が懸念されます。
計画地周辺はかつて、絶滅危惧ⅠB類であるイヌワシの生息地でした。現在でも稀に観察されることがあり、潜在的な生息地と言えます。同じく絶滅危惧ⅠB類であるクマタカは、現在でも生息が確認されています。一帯は野生動物や渡り鳥の移動経路にあたり、緑の回廊(コリドー)とも呼ばれる貴重な山域です。
このように多様な生物が息づく「市民の森」の豊かな自然を損なうことは、持続可能な社会構築のために生態系を保全しようという世界の流れに反するものと危惧します。
- 健康被害のリスク増大
風力発電施設からの騒音や低周波音が、周辺住民の健康に及ぼす被害についてはすでに国内外で問題視されています。今回の計画のような単基で4300kwまたは6100kwもの出力に及ぶ施設の健康影響に関するエビデンスは未だ十分ではありません。また、風車の回転がもたらす巨大な光の明滅=シャドーフリッカーは計画地から半径2kmに達するとされていますが、これについても健康影響に関する十分な知見が得られていません。半径2㎞圏内には多くの住宅等が含まれており、健康被害のリスク増大が懸念されます。
なお、今回の計画地西側に隣接して、4基の風車からなる「気仙沼市民の森風力発電所」がすでに稼働しており、上述の①~③については、累積的影響の観点からも評価されるべきと考えます。
- 現在及び将来の気仙沼市に及ぼす影響
市民の森の稜線上に建つ巨大風車群は、日本一のツツジの名所と名高い徳仙丈山をはじめ、岩井崎、亀山など、気仙沼市が誇るビュースポットのどこからも視認され、三陸復興国立公園屈指の景勝地である気仙沼市の自然景観に重大な影響を及ぼします。奈良時代創建とされる羽田神社、400年続くとされる「羽田のお山掛け」といった貴重な文化的景観も、巨大構造物の足元でその価値を損ないます。
気仙沼市にとって唯一無二の財産であり、特筆すべき観光資源でもある優れた自然景観及び文化的景観を喪失すると同時に、上述①~③のように、災害リスクを増大させ、安心・安全な生活環境をも失うリスクを冒すことは、将来世代に取り返しのつかない禍根を残すことになると、私たちは危惧します。
4 まとめ
「宮城県環境基本計画(第4期)」では、基本理念として「理念1:地球環境保全の推進」、「理念2:環境への負荷が少ない持続的な発展が可能な県土」、「理念3:人と自然が共生できる県土の構築と次世代への継承」を掲げ、理念3には「本県は、多様で豊かな自然環境の下、農林水産業などの自然と共生した産業や文化が根付いています。しかし、近年は、社会状況の変化により人と自然とのつながりが薄れつつあります。私たちの暮らしが自然環境を基盤として生態系の中で成り立っていることを再認識し、現在及び将来の世代にわたって自然からの恵みを享受し続けていくことができるよう、人と自然が共生できる県土の構築を進めていくことが求められます」と記されています。
昭和48年の開設以来、50年以上に渡って市民に愛され親しまれてきた「市民の森」です。理念3に示された「人と自然が共生できる県土の構築と次世代への継承」を担うに値する、宮城県民にとっても大切な場所であると確信します。
また、昨今、全国各地で地域住民や地元自治体の反対による風力発電計画の中止が相次いでいます。これは、再生可能エネルギーの必要性は理解しつつも、その設置場所によっては、地域の環境に及ぼす影響があまりにも重大で看過できない事例が少なくないことの現れであり、宮城県が先に導入した「再生可能エネルギー地域共生促進税」も、そうした事態を未然に防ぎ、地域の良好な環境の保全と再生可能エネルギーの促進の両立を図るためのものであると理解しています。その意味で私たちは、「市民の森」は風力発電施設の設置場所として甚だしく不適切であると考えます。
村井知事におかれましては、これらのことを十分ご勘案いただくとともに、計画中止を求める9018筆の署名に示された想いを受け止めていただき、住民不在のまま事業が進行することのないよう、準備書意見等を通じて事業者に対してご意見ご指導いただけますよう、切に要望するものです。